世界に祝福されない恋。

帰省したハルちゃん(画像)

街の学校に通うハルを、末は博士か中央政庁の研究員かと誰もがうらやむ。けれどハルがなりたいのは防人(さきもり)。あるいは幼なじみのヒナタのお嫁さんなのだ。

ハルの育った村は辺境の森のほとりにある。森のもたらす危険から村を護り、森の恵みを収穫するのが防人のしごとだ。森には憑かれビトたちが暮らしている。体がいろいろな生き物とまじりあってしまう伝染性の風土病(といわれている)に冒された者。防人は、変わり果てた姿となって村を襲う憑かれビトを撃退するのみならず、或いは不思議なわざでヒトとしての心を取り戻させ、あるいは憑かれビトになりかけた患者を治療する。皮肉なことに、治療に用いられる貴重な薬は、その危険な森に入らねば得られないという。

防人がいなくては、森のそばでヒトが生きることはできない。しかし防人は忌み嫌われる。防人とその妻にしか明かされない数多くの秘密。防人の職についてから子を作ってはならないのは“怪物”が生まれるからだという噂。そして―防人の妻はなぜ、年毎に、日毎に人目を避けるようになるのか。その遺骸が森の奥深くの禁足地に葬られるのは。忌むべき何かを誰もが感じるている故に、その役目はよそ者に押し付けられることがままある。

ヒナタはよそ者だった。ハルの父である村長が拾って引き取った。防人の役目に欠かせない身体的特性も持っている。だからといってヒナタに防人を押し付けることが、ハルには許せない。それなら私が防人かその妻になって、おぞましい秘密も凄まじい苦闘の日々もわかちあおうと、熱病的な恋の始まりに決心したのだ。しかし父は当然のように反対した。「それは、父さんも、世界も、誰も祝福できない夢だ」と。かくしてハルは学校の寄宿舎に追いやられ、中央官庁が村で実施した防人の適性検査に間に合わなかった。ヒナタは予定通り防人になり、パートナーには年上の娘アキヅが選ばれ―そしてふたりは夫婦として暮らし始めた。ハルは、中央政庁の研究員だった父の過去、またハルとヒナタの出生にまつわる禁忌を察知し、自分自身の謎を解くために旅立つ。森のほとりで育ったお嬢さんは、なかなかに気丈なのである。

その旅の途上で、帽子とコートで全身を隠した折紙士、半永久的に13歳の言霊使い、豪腕狼耳娘、蟻の女王などの人々と出会うが、それはまた別の話。

制作日
2002-02-28
画材
Gペン、PainterClassic1.0、Photoshop6.0

Other Version

  1. pbbs/20020303haru.jpg乙女の断髪は戦闘装備 / アキヅ姐さん曰く「馬鹿な子だねぇ、髪まで切っちまって。あたしとヒナタはそんなんじゃないのさ」(2002-03-03)

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名前
玻瑠 / Haru
シリーズ
Bloody Hounds-next 「防人の森」「折紙の砦」
参考
恋敵かついろいろライバル、アキヅ姐さん
片思い人、ヒナタくん
旅先で出会った“折紙士”、レイヴン

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