なんだい、ザネリ。
ほんたうにこんなやうな蠍だの勇士だのそらにぎっしり居るだらうか、あゝぼくはその中をどこまでも歩いて見たいと思ってたりしてしばらくぼんやり立って居ました。
きれいに飾られた街でジョバンニは立ち止まる。美しい星座早見表の前で立ち止まり、いっとき遠い銀河のことを考える。澄んだ空気は水のように流れるし、そこらはまるで人魚の都のようだ。けれどジョバンニはうなだれて歩き立ち止まる。牛乳屋でおかあさんの牛乳をもらうために。そしてジョバンニは級友らに話し掛けようと勢いよく歩き―そしてもう立ち止まれない。カムパネルラもそこにいるというのに、遁げるようにその眼を避けて去らねばならない。
「ジョバンニ、らっこの上着が来るよ。」さっきのザネリがまた叫びました。
※ケンタウル祭の夜の星々のようにさざめく(カムパネルラを含む)級友たち、新月のように暗く独りぼっちのジョバンニ。右がザネリ(下に弟妹いっぱいいそう)、左が自分こそがカムパネルラと仲良くすべきだと思っているちょっといいとこの子、上はザネリの腰ぎんちゃく、て感じか。
- 制作日
- 2002-01-15
- 画材
- 鉛筆、PainterClassic1.0、Photoshop6.0
book data
- 作者 / アーティスト
- 宮澤賢治
- 題名 / 収録物
- 「宮澤賢治全集 7」 ちくま文庫 (amazon.co.jpで ISBN:448002008Xを見る)
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