汽車は遠く、そしてジョバンニは。
町の灯は、暗の中をまるで海の底のお宮のけしきのやうにともり、子供らの歌ふ声や口笛、きれぎれの叫び声もかすかに聞えて来るのでした。
ジョバンニは胸をどかどかさせながら天気輪の丘にやってきた。冷たい草の上に体を投げれば、祭の夜のにぎわいが聞こえる。遠くを汽車が走り去る。何ともいえないかなしみが体を満たす。そらにはしらしらと天の川。ジョバンニは青い「琴の星」がまたたいかと思うと「きのこのやうに」長く伸び、眼下に広がるまちが星の集まりのように見えると思った―そして。
※花はツリガネソウではなく白花のホタルブクロにした。「つりがねさうか野ぎくの花か」とあり、恐らく白い花がいろいろいりまじっているのだろうと思ったので。ホタルらしき光る虫もいることだし。「天気輪の柱」を三角標の親玉にしたこと、夏の大三角などについては、ますむらひろし氏の「イーハトーブ乱入記」(ちくま新書 amazon.co.jpでISBN:4480057560を見る)を参考にさせて頂いた
- 制作日
- 2002-02-02
- 画材
- 鉛筆、PainterClassic1.0、Photoshop6.0
book data
- 作者 / アーティスト
- 宮澤賢治
- 題名 / 収録物
- 「宮澤賢治全集 7」 ちくま文庫 (amazon.co.jpで ISBN:448002008Xを見る)
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