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超私事不定期日記(仮) 2003年5月増補

2003年5月3日(土曜日)

信濃国一之宮諏訪大社

そうだ、信州行こう! って1ヶ月ほど前にも聞いたぞそのフレーズ。連休を使って信濃国一之宮諏訪大社を制覇してきた。連休なのに1箇所だけ? と疑問に思われるかもしれないが、まあ諏訪大社には諏訪大社の事情というものがありまして。

上社本宮
祭神:建御名方神[たけみなかたのかみ]
所在地:長野県諏訪市中洲
上社前宮
祭神:八坂刀売神[やさかとめのかみ]
所在地:長野県茅野市宮川
下社春宮
祭神:建御名方神、八坂刀売神(配祀:八重事代主神[やえことしろぬしのかみ]
所在地:長野県諏訪郡下諏訪町大門
下社秋宮
祭神:建御名方神、八坂刀売神(配祀:八重事代主神[やえことしろぬしのかみ]
所在地:長野県諏訪郡下諏訪町上久保

下社と上社は10キロメートルばかり離れているそうです。…遠来のペーパードライバーさんはいちにちではまわれません。がくり。

という訳で、新幹線とJR中央本線を乗り継ぎ、気長にてくてく歩いて4社を巡ってきた。

ちなみになんですけども、建御名方神は大国主神と高志沼河比売命[こしのぬなかわひめのみこと]の子で、八重事代主神の弟。八坂刀売神は奥さんです。「古事記」にも記載のある古社で、武勇、風雨、水などの守り神として信仰されているそうな。御神紋は「梶の葉」。

諏訪大社御神紋「梶の葉」

下社秋宮

下社秋宮はJR下諏訪駅から徒歩10分ほど。雄渾な狛犬を配した神楽殿は、あたりまえのようにお賽銭をあげて拝んでしまう立派さだ。注連縄は出雲風の巨大なもの。と思ったら出雲から職人さんを呼んで作ったものだそうだ。拝殿はあまり見かけない2階建てで、二重楼門造りというらしい。1781年の建築で、鳳凰、龍、牡丹に唐獅子、松に鷹などの装飾彫刻が見事だ。拝殿の奥にある建物が本殿かと思いきや、それらは御宝殿であって、御神体はさらに奥にある御神木なのだそうだ。秋宮の御神木はイチイとのこと。やはり古い信仰のかたちを伝えているのだ。

下社秋宮拝殿の装飾彫刻

社務所で御朱印を頂きながら、梶の葉の紋がかわいらしい黄色のお守りを見かけ、買おうかどうしようかと悩む。今持ってるのは大神神社ので、諏訪明神のお父さんでもあるから一緒に持ってもいいよね(謎)、よし買おう! と決心したのに、捺してもらった御朱印が嬉しくて眺めているうちにすっかり忘れる。このぽんつく。

下社秋宮の御朱印

下社春宮

下社秋宮から下社春宮へは徒歩15分ほど。民家の庭の花を眺めながらゆく。よく手入れされた綺麗な庭が多い。

春宮も神楽殿の向こうに二重楼門造りの拝殿がある形式。拝殿のデザインもよく似ていて、秋宮と同様に豪華な彫刻で飾られている。秋宮は立川和四郎、春宮は柴宮長左衛門という、ともに世に聞こえた名工が棟梁を務め、技を競うようにして造営したそうだ。でも和四郎くんに長左衛門くん、お互いけなしあってたらしいけど、私の目には同じ人が彫った彫刻に見えちゃった。ごめん。

下社春宮拝殿

境内で怪しいサークル状の石組みを発見。木や磐座を囲む石組みに見えるのだが、サークルの中には雑木とごろた石しかなかったり、幣が供えられていたりと、全体になんだか怪しい。そう古いものではないし、石柱には寄進者の名前が彫られているから、変なものではないと思うのだが。御朱印を頂きつつ神職に訊いてみれば、御神木の梶の木が枯れて囲いだけが残った状態だと聞いている、との由。なんでも、建御名方神が諏訪に移ってきたときに梶の葉の模様のついた服を着ていたので、梶を御神紋としたのだという説があるそうだ。また、梶は神事に用いる植物でもある。そこで境内にも梶を植えたのだが、本来明るい環境を好む樹で、古木が生い茂った薄暗い場所ではなかなか育ちにくいそうだ。

下社春宮の御朱印

諏訪湖

30分ばかり歩いて諏訪湖へ。桜がまだ咲いている。諏訪湖は対岸が見えるのか…(←琵琶湖を見慣れすぎ)。諏訪の鳶は湖で魚を獲るのか!(←2回も目撃してコーフン気味)。つか鳶多すぎ!!(←19羽まで数えてあきれてやめたらしい)。諏訪湖、以上。宿で温泉に入って寝る。

2003年5月4日(日曜日)

上社前宮

今日はJR茅野駅からいっぱい歩くのだ。まずは上社前宮を目指す。駅から4キロメートルだって。ははは。そちこちで庭木の花やら珍しい(と私は思う)じかに寄進者の名簿を打ちつけた鳥居やらの写真を撮りまくりながら歩く。

上社前宮はなだらかな山の麓にある古さびた社であった。古いというか、半ば遺跡だ。かつてここには何々があった、と語るたくさんの立札と、点在する建物の基礎らしい石が、往時の威容を偲ぶよすがとなっている。一帯は高台で、日当たりも見晴らしもよい。豊かな湧き水が本殿横からほとばしり流れている。古代、確かに祭祀や政治において重要な土地だったかもしれない。

上社前宮近くで撮った山吹の花

さて御朱印である。社務所を訪ねてみたが人の気配がない。「清掃に行っています」と札が置かれているばかり。帰りにまた寄ることにして、本宮を目指す。

上宮本宮

上宮本宮へはまた2キロメートルばかり歩くことになる。道すがら、とてつもない風景に遭遇した。山の頂上近くにお社があって、山の麓の鳥居から階段が伸びている、のだが、その斜面の角度が尋常でない。45度ぐらいあるんでないかと錯覚する急斜面である。ならば階段をジグザグにつけていけばよいものを、社に向かって真っ直ぐにつけてあるので、心臓破りというか下りは絶対転がったほうが早いというか、上に御神輿納めてあったら毎年祭りの頃に氏子が夜逃げするだろうなというか、目の覚めるようなビビッドな眺めでありました。あーびっくりした。

気を取り直して上社本宮である。社叢は極めて広大という訳ではないが、年古りた巨木とさまざまな目的や形式の建築が点在し、風格を感じさせる。絵馬堂には、馬を描いて奉納した本来の意味の“絵馬”が飾られている。直径1.8メートルの大太鼓を据えた神楽殿にも、何やら由緒ありげな額が掲げられている。どうやら諏訪大社各宮では、出雲系の神は出雲式の建築に祀っている節があるのだが、ここにも出雲式の小ぶりの社があった。祭神は不明。社殿は諏訪造りの代表的建築で、装飾彫刻も見事だというが、遠くてよく見えなかった。残念。

上社本宮拝殿

さて御朱印は巫女ちゃんたちがお守りを販売しているところでなく、社務所で頂く。前宮の神職が留守がちなので、申し出ればここでも前宮の御朱印を捺してもらえるそうだ。前宮に3回行って3回とも留守だったという夫婦連れが、念願の前宮の御朱印をやっと手に入れて嬉しそうにしていた。

上社前宮の御朱印 上社本宮の御朱印

ところで大鳥居前の土産物と蕎麦の店は、飲食スペースにインドっぽい美術品と純日本な神具の類がいっしょくたに並び、しかも値札がついていたりして、雰囲気としては怪しさ大爆発。蕎麦と窓からの眺望はなかなかでした。

そして名高い式年造営御柱祭は来年なのだった。

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諏訪旅行のまとめ

神社4つ巡ったつもりがぜんぶおんなじ諏訪大社。がーん。


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