夜空のむこうに。
貧しい少年ジョバンニは、ケンタウル祭の夜、友人カムパネルラとともに不思議な鉄道で銀河へと旅立った。燈台看守、鳥捕り、黒服の家庭教師などさまざまな人びととの出会いを通じて、「ほんとうのさいわい」をカムパネルラとともに求めてゆこうと決心するが…。
旅立ったとき、カムパネルラはすでに死人だった。よりにもよって、ジョバンニをいつもからかういじめっこのザネリを助けるために、川で溺れて死んだのだ。しかし、ともに「ほんとうのさいわい」を求めて歩む約束を交わし、彼がどうやら死んだ母のところへ行ったと予感していたたジョバンニは、「そのカムパネルラはもうあの銀河のはずれにしかゐないといふやうな気がしてしかたなかったのです」と静かに受け止める。
なぜジョバンニだけが生きて銀河鉄道に乗ったのだろう。ジョバンニだけが持っていた不思議な切符はなんだろう。天気輪の柱とは。「ハルレヤ」とは。今なお研究課題だらけの不思議な物語、わからないところはわからないまま、溺れるように読むのがいいと思う。
- 制作日
- 1989
- 画材
- Gペン
- 掲載物
- 個人誌
book data
- 作者 / アーティスト
- 宮澤賢治
- 題名 / 収録物
- 「宮澤賢治全集 7」 ちくま文庫 (amazon.co.jpで ISBN:448002008Xを見る)
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