噛まずに言えるか。

ネネムとブドリとフウフィーボー博士(画像)

(冒頭原稿なし)ばけもの世界を襲った飢饉のさなかに妹マミミをさらわれたネネムは、苦労の果てにフゥフィーボー博士の試験に合格して世界裁判長に就任する。大活躍で世間の評判も上々、マミミにも再会でき、ネネムはまさに栄達の絶頂にあった。しかし慢心して踊り遊ぶうちに人の世界に迷い込み、「出現罪」を犯してしまう。ネネムは辞任を決意して…(以下原稿なし)

「グスコーブドリの伝記」の最初期形(あるいは共通の挿話を持つ作品)で、相当初期の作であろうといわれている。ほとんど偶然手に入った名声ゆえに転落する、というテーマは、「貝の火」も思い出させる。原稿はあちこち焼失し、賢治らしい熟達の言葉づかいもまだ見られない。むしろ、このすんごい主人公の名前からもわかるとおり、故意に破綻させている感さえある。まさにそこがおもしろい。

イメージイラストを描こうとして気付いたのは、何もかもが極めて「美的」でないことだ。「無闇にぎらぎら光る鼠色の男(刑事)」、「なめくぢばけもののやうな柔らかなおあし(ネネムの足)」、「灰色の1メートルある顔(フゥフィーボー博士)」など。美女のはずのマミミの顔なんて紺色なのだ。しかし子どもらに読み聞かせると、きゃっきゃ言って喜びそうだなぁ。もちろんその際は挿絵などつけず、子どもらにあとでネネムたちを描かせて大人も楽しみたいものだ。ちなみにここでは、賢ちゃんの描写のとおり描くとすんごいことになってしまうので、あんまり気にしないことにした :p)

制作日
2001-08-06
画材
Gペン、Photoshop6.0

Other Version

  1. pbbs/20020330nenemu.jpgネネム様 / ばけもの世界ではネネム様ブロマイドとかって売ってるのかなあ(2002-03-30)

book data

作者 / アーティスト
宮澤賢治
題名 / 収録物
「宮澤賢治全集 5」 ちくま文庫 (amazon.co.jpで ISBN:4480020063を見る

このページの記事はここまでです。U このページの最初へ