わが心のにらみん。

里の小川のオヤニラミ(画像)

もしかしたら水族館の日本産淡水魚のコーナーで見かけて、親を睨むという親不孝チックな名前を覚えている方もあるかもしれない。私も最近までは、凶暴で卵を守るためなら親でもどつきまわす、というイメージしかなかった。

ところが魚を飼いはじめて、あらためて熱帯魚店で出会ったオヤニラミは、とてつもなくかっこよかった。スズキの仲間らしい、原初の魚の荒々しい姿を思わせる背びれ。鋭い眼光。朱色をにじませた上に青い輝きをちりばめたひれ。そういえば私が飼いたくても飼えない大型魚、アカメやナイルパーチにもけっこう似てる。かくしてオヤニラミは、にらみんというあまり似合わない愛称とともに我が家の住人となったのである。

飼ってみると、これが意外にも人馴れする性質だった。視覚型肉食魚の常として、飼い主とアイコンタクトを取るかのようなそぶりを見せる。腹が減ればこちらをじーっと見つめる。手から餌を取る。勢い余って指にもかぶりつく。…愛しい(はぁと)。残念ながら夏の暑さや飛び出しで、3代のにらみんはみんな長生きしなかった。飼育環境と技術が向上するまで、再びあのかわいいにらみんと暮らすのはおあずけである。なので、関西のショップでオヤニラミ水槽にかぶりついているバンダナ頭の怪しいヒトを見かけても、どうかそっとしておいてほしい。

この絵は、うちの極悪環境の水槽で不自由な暮らしをかこつにらみんに、本来の生息環境をプレゼントしてみた、つもり。

制作日
2001-06-24
画材
Gペン、水彩絵の具、ワトソン紙
掲載物
楽しい熱帯魚

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