キャラ立ちまくり、その故に。
もともとミステリはほぼ読まないんである。ミステリよりはSFを好んで読む。どんなに世評の高いミステリ作家の名作を読んでも、「ふーん、よく書けてる。上手い。なるほど売れそうだ。しかし私はもういらない」ってカンジだった。失礼だけどもしょうがない。私の読書の好みはとてつもなくうるさいのだ。
しかしようやっと私にも好きなミステリができたのだ。まずは畏敬の余り読むのがおそろしい宮部みゆきのもの。みゆきちゃん巧すぎてやんなっちゃうので、体調と気分のよいときに読む。江戸ものはけっこう安心して読めるのだがなぁ。
いつでも読めるのは、有栖川有栖の作家有栖篇。そもそも有栖川氏の文章が好きなようだ。諧謔とペダントリーをきかせながらも常に清雅さと暖かみを失わない、上品な文章だと思う。書いた本人もとてもいい人のように感じる。すべての登場人物を決して突き放さない、いい意味で優しいストーリーも好み。
ミステリーをあまり読まない私には、有栖川氏の作品が「本格ミステリ」と冠されている理由はわからないが、圧倒的な女性読者の支持の理由はなんとなくわかる。それはキャラクターの立ち具合、主人公コンビの設定の妙ではなかろうか。
臨床犯罪学者・火村英生助教授。陰のあるセクシーさ、いまだ明かされないその陰の由来、猫好き、女に興味を示す様子なし。推理小説家・有栖川有栖。火村を理解し支える恐らく唯一の存在、ワトソン君的かわいいおマヌケぶり。パロディしたくなるのが人情ってもんでしょうが。いや私はしないけど、作品に描かれていないところまで想像し得るという意味で、二次的に表現してみたい意欲にはかられるな(それがパロディだってば)。例えばどこにもそんなこと書いてないのに、火村先生は耳たぶが薄くてちっちゃくて、手はちょっと骨っぽくて器用そうな感じ。有栖川先生は福耳で、手はぽちゃっとして爪なんか短く切りすぎてそう。
それにしても有栖川氏、故意に婦女子の萌えを狙ってるかもしれない…。なんといっても戦略的ペンネームを考案し、しかも実際にそれを使ってプロデビューしてしまった人だからなぁ。
- 制作日
- 2001-08-04
- 画材
- Gペン、Photoshop6.0
Other Version
book data
- 作者 / アーティスト
- 有栖川有栖
- 題名 / 収録物
- 「46番目の密室」 講談社文庫 (amazon.co.jpで ISBN:4061858963を見る)
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