職人気質。

久米先輩(画像)

今は一杯飲み屋になってしまった元料亭の一人息子で、板前志望の中学3年生。後輩の源まゆちゃんは、料亭時代からの常連さん。まゆのパパが政治家さんだかで、たまに小さいまゆを連れて来ていたのだ。飲み屋になってからは、まゆはもっぱらひとりで来ては、お惣菜とごはんで晩飯済ませたり、おさんどんしたり、店が終わるまで奥で宿題して帰ったりする。料亭がつぶれたのはそのパパさんが店内で何か取引したのがマスコミに漏れて、逆恨みされたせいだとかも聞くけれど、玄人にはどうでもいい。あんな手間かかる料理を毎日作るのは飽きるからよ、と笑う。一方で、まゆのママがいわゆる愛人で、もうパパさんからはすっかりお見限りだということにも、なんとなく気付いている。「自立」が口癖で、自分にも他人にも、もちろんまゆにもけっこう厳しいのだった。

今、まゆは意識不明のまま何年も入院している。目の前で川に落ちた彼女を助けられなかったことを気に病んで、玄人は一流の料理人を目指して働きながら足しげく見舞いに行っている。眠っているかのような横顔に今日のできごとを話し、悩みを吐き、夢を語り、そうしてやっと一日が終わるような気がしている。彼女がある日突然起き上がったときに、自分のことを忘れずにいてくれるのではないかと、心のどこかで期待しながら。

「古事記」に出てくるヤマトタケルに仕えた膳手(かしわで=料理人)、七束脛(ななつかはぎ。久米氏の祖)のイメージによるキャラクター。無闇に背が高くてぶっきらぼうだけど、ちょっとした材料でおいしい料理を作ります。私の七束脛はカラスの羽で作った合羽を着て山野を渉猟するので、玄人くんもカラスさんとご縁が。お店の裏のゴミ箱をカラスが荒らすと、あたりを縄張りにしてるカラスのボスに苦情を言うのだそうな。

制作日
2002-03-23
画材
お絵描き掲示板

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名前
久米玄人 / Kume Kuroto
シリーズ
ヤマトタケル異聞 蚕姫 ―Kohime―
参考
後輩で常連客で臨時アルバイトの源まゆちゃん
何か関係があるかもしれない七束脛

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