ゆきわらす、ゆきおいの、ゆきばんご。

ゆきわらすが見てる(画像)

水仙月の四月、それは雪婆(ゆきばんご)らに「一人や二人とつたつていい」と許された日。しかし雪婆の眷属の雪童(ゆきわらし)は、雪原をひとりで歩いていた子どもを助ける。一方的な、しかしかわいらしい交歓を、美しいことばで描く。

ゆきばんごにゆきわらすにゆきおいの(雪狼)である。なのに日本の土俗とかけ離れた絵しか浮かばないのはなぜだろう。あらゆるイメージが視覚的に美しすぎるのだ。映像ではなく絵が浮かんでくる。なんか雪童なんぞエリーのアトリエで錬金術などお手伝いしそうではないか。

白い雪野原に赤い毛布(けっと)にくるまった子ども。雪狼がべろべろ吐く焔のように真っ赤な舌。プレゼントしたヤドリギの実。笑う雪童の林檎の頬。白と赤が印象的で、カラーにしても白と黒と赤しか使わないであろうなぁ。ところで雪童って、水仙月の四月に死んだ子どもだと思わない?

制作日
1989-02-10
画材
Gペン

book data

作者 / アーティスト
宮澤賢治
題名 / 収録物
「宮澤賢治全集 8」 ちくま文庫 (amazon.co.jpで ISBN:4480020098を見る

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