風の又三郎と風野又三郎。
谷川の岸の小さな学校に、「変てこな鼠いろのだぶだぶの上着を着て白い半ずぼんをはいてそれに赤い皮の半靴をはいて」、高田三郎が転校してきた。その日はまさに二百十日。子どもらは都会のにおいのする転校生に「風の又三郎」ではないかとおびえながらも、おっかなびっくりで交流を深めてゆく。
「風野又三郎」(ちくま文庫「宮澤賢治全集5」所収)という宮澤賢治作品をご存じだろうか。まさに高田三郎くんが間違われた、風の精霊たる本家又三郎が登場する。風野又三郎は、鼠色でぎらぎら光るガラスのマントを着た、少年の姿をした風である。山の子ども達を相手に気ままに風学講座を語ったり、気まぐれに遊びに参加したりしたあげく、季節が巡ればあっという間に去っていく。こっちの又三郎もなかなかいいねぇ。第一、山の子どもと都会の子どもなんて雑な対比を許さないとこがいいよ。
- 制作日
- 1989-02-02
- 画材
- Gペン
- 掲載物
- 個人誌
Other Version
- ガラスのマント / 実写映画版のイメージで(2001-09-29)
book data
- 作者 / アーティスト
- 宮澤賢治
- 題名 / 収録物
- 「風の又三郎」 新潮文庫 (amazon.co.jpで ISBN:410109201Xを見る)
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